日常使いの割り箸と違い、良い箸は重さ・持ち重り・先端の細さがはっきり違います。産地・素材・用途別に、選ぶときの判断材料を整理します。
若狭塗:国産塗り箸の8割を占める産地
福井県小浜市を中心につくられる「若狭塗箸」は、国内で生産される塗り箸の8割以上を占める、日本最大の漆塗り箸の産地です。卵殻・貝殻・金銀箔などを蒔いた下地に色漆を何層も塗り重ね、表面を研ぎ出して海底のような模様を浮かび上がらせる「研ぎ出し」が特徴の技法です。
若狭塗は1978年に経済産業大臣指定の伝統的工芸品となっています。複数回の下地塗り・色漆の重ね塗り・研ぎ出しという工程を繰り返すため、一膳が完成するまでに相当な日数がかかります。
その積み重ねが、量産品にはない奥行きのある模様を生み出します。贈答用の包装に対応する店が多く、ギフト需要に向いた産地です。
若狭塗り箸 らでん(日本製・贈り物対応)
越前漆器:堅牢さと業務用で培われた品格
同じ福井県の越前漆器(鯖江市河和田地区)は、椀や膳に強みを持つ産地です。外食産業向けの業務用漆器では国内の大半を占めるとされるほど堅牢さに定評があり、その塗り技術を生かした越前塗の箸は塗膜が厚く扱いに強いです。
業務用途で鍛えられた耐久性が、日常使いにもそのまま活きます。無地や朱塗りなど飽きのこないシンプルなデザインが多く、毎日使い込んでいくにつれて馴染んでいく感覚があります。
若狭塗の華やかな模様とは対照的な、実直な美しさがあります。
銘木箸:黒檀・紫檀・本榧の特徴
漆を塗らず木地そのものを楽しむ「銘木箸」もギフトとして根強い人気があります。黒檀(エボニー)は気乾比重がおおむね1前後と高く、水に沈むほど緻密で、使い込むほど自然な艶が増します。
紫檀(ローズウッド)は赤みを帯びた木肌が特徴で、切り口からバラのような甘い香りがすることが英名の由来とされています。
本榧(かや)は碁盤・将棋盤の最高級材として知られ、適度な弾力と滑りにくさがあり、箸としても手になじみます。銘木箸は「木そのものの個性」をそのまま手で感じられ、塗り箸とはまた違う触れ方ができます。
黒檀 八角箸 漆仕上げ(江戸木箸)
利休箸(利久箸)との違い
「利休箸」は、千利休が茶懐石のために赤杉を削って用いたのが起源とされる、両端が細い白木の箸です(縁起を担いで「利久箸」と書くこともあります)。一方の端を神が、もう一方を人が使うという考え方に基づくもてなしの箸で、ハレの席で使われます。
塗り箸や銘木箸とは性格が異なり、繰り返し長く使う高級箸とは別カテゴリと考えてよいでしょう。
ギフト向けの選び方と自分に合う長さ
贈り物なら若狭塗がおすすめです。福井の専門店(大岸正商店など)や百貨店の催事、各店のオンラインショップでは「名入れ」に対応するところがあり、結婚祝い・引越し祝い・還暦祝いにもよく合います。
長さの目安は「一咫半(ひとあたはん)」。親指と人差し指を直角に開いたときの指先間の距離を一咫といい、その1.5倍が手に合う長さとされます。一般的な目安は男性で約23〜23.5cm、女性で約21〜21.5cmです。
産地で選ぶなら若狭塗・越前漆器、素材の個性で選ぶなら銘木箸、という切り分けが基本です。毎日使うものだからこそ、手に持ったときの重さ・バランスを実物で確認してから選んでください。

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